2年生の4月に全日制の都立高校から転入。見た目はいわゆる「今時の高校生風でちょっとやんちゃなタイプ」。学習開始してから数カ月は真面目に課題に取組み、学力レベルも問題なし。むしろ平均よりも出来る方だった。
明るく社交的で友達が多い、というのは素晴らしい長所であるが、鹿島学園での生活にも慣れ新しい友達が出来始めた頃から勉強に集中出来ない態度が目立つようになった。登校はするものの友達と喋ってレポートが進まない、だけにとどまらず大声での私語などまわりの生徒への悪影響も見られるようになった。
初めのうちは提出期限まで余裕を持って完了していたレポート・視聴票も遅れがちになり、大体が期限ギリギリ、何教科かは補習を経て何とか完了するような状態が続いた。
何度か職員との面談を実施し、決まって卒業への意欲は見せるもののなかなか行動までは変えられなかった。とはいえ、友達が多いこともありスクーリング出席は問題なし、特別活動にも積極的に参加した。最後まで同じような調子であったが、友達と楽しく過ごしながら遅れることなく卒業を手にした。
勉強面においては取り組みさえすれば問題なく課題をこなせる学力があったため、当初数カ月のように一人で黙々と勉強が出来ていたらもっとスムーズに卒業出来ていたかも知れないと思うことがある。反面それだと本来彼が持っている明るさは引き出せなかったような気もする。
高校生活において勉強やスポーツ(部活動)が大切なのはもちろんだが、それだけではなく友達との付き合いやアルバイト、遊びなどからいろいろなことを学び、思い出を作ることも一つの大切な要素だと思う。その点においては個人の選択になる。
我々職員も上から抑えつけるのではなく、彼の話を聞きながら卒業に導けるように接した。正解だったかは分からないが少なくとも卒業式で満足気な笑顔を見られたのは良かったと思っている。